(第24号) 2005年1月12日
政策調査情報 連合北海道 政策道民運動局
 
 政策調査情報第23号(12月27日)で速報した連合北海道「2005年度道政に関する要求と提言」に対する、高橋知事からの正式に回答の詳細を報告する。
 
1.2005年度道予算編成にあたっては、道民生活と雇用の安定・創出を最重点に取り組む。
(1) 雇用の安定・安心を最優先した予算編成
道の予算編成にあたっては、道民生活と雇用の安定・安心を最優先する。厳しい雇情勢を改善するため、各部の予算にそれぞれ雇用創出事業枠を設け、財政再建の中にあっても景気回復を後押しする雇用に重点をおいた予算編成を基本方針とする。特に、IT、バイオ、環境、福祉、食、観光、住宅関連などの成長分野における雇用創に向け施策を拡充する。
 
●回答(知事政策部参事 経済部経済政策室)
 本道の経済・雇用情勢については、一部に変化の動きが見られるものの、依然厳しい状況が続いているものと認識しています。
 このため、平成17年度重点政策展開方針では、「道政のあらゆる分野において、雇用の創出と民間需要の誘発効果の高い政策展開を図ること」を政策検討にあたっての基本的視点として位置づけ、極めて深刻な状況に直面している道財政の中、経済の再建につながる施策を重点的に進める考えです。また、北海道経済の再建に向けては、本道が有する潜在的ポテンシャルを短期間に顕在化させ、本道経済を着実な回復軌道に乗せ、再建への道筋をつけることが、急務であることから、平成16年3月に、「ほっかいどう産業活性化プログラム」を策定して、今年度からの3ヶ年で、集中的に施策を実施しています。
 このプログラムでは、北海道の特性を活かした比較優位性の高い基幹産業分野(「食分野」、「観光分野」)や成長性の高い先導的分野(「IT分野」、「バイオ」、「住宅分野」、「環境・リサイクル分野」、「生活分野」)を「戦略分野」と位置づけ、新たな事業展開を集中的に支援し、新事業・新産業 の創出に取り組むほか、産業活性化のリード役となる優れた経営を行う企業群の形成を図っているところです。
 さらに、このプログラムの実効性を確保するために、分野ごとの「めざす姿」、さらには目標指数を設定して、競争力のある中小企業群の形成に向けて積極的に取り組みを進めています。この産業活性化プログラムの着実な推進に向けて、本道の持つ優位性・可能 性を活かした北海道ブランドの確立、雇用の創出に結びつき産業活性化を牽引するリード役づくりにつながるよう、関連施策や事業の充実を図るとともに、事業の進捗や雇用創出状況を把握し、産業の活性化や雇用の創出に努めてまいります。
(2) 財政立て直しプランの見直しと生活弱者への対応
 8月6日に最終決定した「財政立て直しプラン」は、医療・福祉・教育など道民生活の根幹に係わる部門においても、聖域なき削減・切り捨てとなっているが、補助金・負担金削減の対象となった当事者の生活に直接影響を及ぼす問題であり当事者等の要望をふまえて、プランの見直しや必要な支援措置を確立する。
 
●回答(総務部財政課)
 財政立て直しプランは、道民の皆さんの多様なニーズに対応できる将来にわたって持続可能な財政構造の構築を図ることを目指しています。目前に迫った「赤字再建団体」への転落を回避するためには、平成19年度までの集中対策期間において、少なくとも1,700億円の財源を捻出する必要があります。
 このため、財政立て直しにあたっては、教育や福祉分野も含め、聖域を設けることなく施策を見直すことが不可避であり、国や他団体の水準を超えるものなどを中心に検討を行ったところです。それぞれの施策の見直しにあたっては、引き続き、市町村や関係団体などに充分説明し、ご理解を頂きながら進めて参りたいと考えています。
 
 
2.長期に及ぶ、厳しい本道の雇用・失業情勢を打開する。
 
1)雇用機会の創出・拡大について



 
@ 北海道雇用創出プラン見直し拡充
 危機的な本道の雇用・失業情勢を打開し、4%未満へ失業率を改善させるため、「北道雇用創出プラン」(実施期間H14〜18年・H15見直し・拡充)を拡充し、雇用対策を強に推進する。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 雇用情勢が一段と厳しさを増す中で、道としては、平成15年9月に「雇用創出プラン」を改定し、平成15年度及び16年度の2カ年を緊急雇用対策実施期間と位置づけるとともに、2年間で5万人の雇用創出を目標とし、産業政策と雇用政策を両輪として、全庁が一丸となって雇用対策に取り組んできたところです。
 15年度については、2万5,000人の目標に対して、2万5,510人の雇用を創出したところであり、16年度についても、2万5,000人を上回る雇用創出を目指して全力で取り組んでいるところであり、この目標を達成できるものと見込んでいるところです。しかし、本道の雇用情勢は、依然として厳しい状況にあると認識しており、 今後の経済・雇用情勢等を見極めつつ、雇用創出目標や実施期間を含めて、プランの見直しに向けて、検討を進めていく考えです。
A 緊急地域雇用創出特別交付金事業の継続・拡充
 全国と格差のある本道の雇用情勢に鑑み、今年度で期限切れとなる国の緊急地域雇
用創出特別交付金事業については延長し、地域実情に応じた対応を国に求める。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 緊急地域雇用創出特別交付金事業につきましては、平成16年度末をもって終了することとされておりますことから、これまで国費予算要望や全国知事会を活用するなど、国に対し存続等の要請を行ってきたところであります。しかし、全国的な雇用情勢の改善傾向などにより、その存続は困難な見通しにあります。
 
指摘
 緊急雇用創出特別交付金事業の継続・拡充については、連合本部も重点課題として取り組んできたが、財務省内示にも盛り込まれず、その実現は厳しい情勢と判断している。この3年間、多くの市町村では、緊急雇用創出特別交付金事業を活用してきたところであるが、全国と比較して、本道の雇用情勢は、依然として厳しい環境にある。市町村における雇用創出は重要であり、厚生労働省は市町村が取り組む雇用創出に、新たな支援制度を検討しているが、道も積極的に対応すべきではないか。
 
●指摘に対する回答(経済部雇用対策課)
 連合北海道においても全国レベルで、この問題に取り組まれているいることは承知しておいます。
 道としては、国の新たな制度の活用を図るため、地域説明会を開催するなど事業の周知を図るとともに、意欲的に取り組もうとする市町村に対して積極的な助言に努めるなど市町村の取り組みを促進していくほか、道内の多くの市町村が活用できるよう、北海道の厳しい雇用情勢への十分な配慮を、国に対して働きかけていきます。
 また、本年12月に認定を受けた地域再生計画「北海道一村一雇用おこし促進事業」に基づき、国及び市町村等とさらに密接に連携を図り、地域における様々な雇用おこしの取り組みをさらに促進して行きます。
B 北海道雇用創出推進会議について
 北海道の厳しい雇用情勢を打開するため、北海道雇用創出推進会議は、北海道、道地方労働局、道経済産業局の連携を強化し、各行政機関の各種制度・予算の総合的・効果的活用ができるしくみをつくり、ミスマッチ解消と失業者の早期再就職などを促進する職業相談・職業訓練・トライアル雇用・職業紹介を一貫して実施しうる体制を構築する。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 本道の雇用状況を改善していくためには、道が行なっている職業訓練とハローワークの職業紹介を有機的に結びつけるなど、各機関の施策や人的資源を相互に有効活用し、北海道経済産業局や北海道労働局などと連携を強化していく必要があると考えております。
 「北海道雇用創出推進会議」は、こうした各行政機関の連携を推進していくうえで重要な役割を果たすものと考えており、今後ともこの会議を積極的に活用しながら、各機関の協力の下に、総合的に雇用対策に取り組んでまいりたいと考えております。
C 産業構造転換への対応と起業化支援
 公共事業に依存した産業・就業構造の転換を図るため、農業の再生と第1次産業関連ビジネス、少子高齢化対策と福祉ビジネス、環境と景観保全対策など地域ニーズに応えるコミュニティ・ビジネス等の創出を通じた、雇用転換・雇用創出を強化する。そのため、NPOや地元中小企業事業者、新規開業者の開業・運転資金、人材育成、技術・商品開発など総合的な支援策を構築する。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 依然として厳しい本道の雇用・失業情勢に的確に対応するためには、地域のニーズや資源などを踏まえた〈コミュニティビジネス〉の創出など、地域において新たな雇用創出を図ることが重要であります。また、地域における雇用創出の取り組みを促進するためには、地域の実情に詳しい市町村が主体的な役割を担う必要があります。
 このため、道では平成15年度に創設した「一村一雇用おこし事業」を通じて市町村が取り組む「地域づくり」に即した事業を実施する中小企業者やNPOなどに対して事業化と雇用の両面から支援を行うとともに、市町村の雇用創出の取組みの喚起を図るなど、地域における雇用創出に努めてきました。
 平成16年度は80件の事業計画を認定したところであり、約500人の雇用が創出される見込みであります。また、これまでに全道の半数の市町村(106)が本事業に取り組むなど、地域における雇用おこし機運を醸成する上で一定の成果をあげています。
 さらに、本年12月に認定を受けた地域再生計画「北海道一村一雇用おこし促進事業」を通じて国及び市町村等と密接に連携を図り、平成17年度においても地域における様々な雇用おこしの取り組みの促進に努めて参ります。
 
●回答(経済部新産業振興室)
 本道経済の活性化と雇用情勢の改善を図るため、高い成長性や雇用効果が期待できる新産業の創出を図っていくことが重要であり、その一環として、平成16年度には、地域政策総合補助金(新産業創造事業)の補助対象に新たなサービス業の創出に向けた生活産業創出事業を加えるなどコミュニティ・ビジネスや生活産業といった生活関連産業に対する育成振興施策の充実に努めているところです。
 生活者の潜在需要や地域ニーズに応える生活関連産業は、地域における高い雇用創出効果とともに、産業の多様化を促進する上で重要な分野であることから、今後ともその創出・振興に努めて参りたいと考えています。
 
●回答(経済部金融課)
 新規開業者に対する開業・運転資金については、これまでも中小企業総合振興資金(事業活性化資金<創業貸付>)の取扱いにより金融面から支援をしているところであり、平成15年度には創業者対策の一環として、道内新規開業の促進及び創業間もない企業の経営の安定を図るため、創業貸付に係る融資限度額を引き上げるとともに融資条件を緩和するなど、制度の拡充に努めたところです。制度の積極的な活用をお願いします。
 
(参考資料)中小企業総合振興資金


















 
  事業活性化資金(創業貸付)
融資対象


 
ア これから事業を開始しようとする計画を有する者
  (自己資金要件あり)
イ 分社化して新たに事業を開始しようとする会社
ウ 創業(分社化)後、5年を経過していない中小企業者等
融資金額 2,000万円以内 → 2,500万円以内
融資期間 10年以内(うち据置2年以内) 
融資利率




 
固定金利   3年以内 1.3%
       5年以内 1.5%
       7年以内 1.7%
       10年以内 1.9%
変動金利        1.3%
 (3年超の取扱いに限る)
信用保証 信用保証を付して扱
備  考



 
自己資金要件
ア 特例保証を利用する場合
 〜 融資申込み金額と同額以上
イ 上記以外の場合
  開業に必要な資金の概ね30%以上 → 20%以上
 
●回答(経済部部人材育成課)
 地域ニーズに応える新たなビジネスの創造や既存事業の革新を進めていくためには、それらを担う知識や技能を備えた人材の育成が重要であることから、その効果的なあり方について、検討していきます。
 
●回答(経済部商工振興課)
 道においては、中小企業の新技術・新製品の開発を促進するため、「創造的中小企業育成条例」に基づき、研究開発、市場開拓に係る助成や事業化資金の貸付けを行うなどの総合的な支援に努めているところです。
 また、創業の促進を図るため、起業セミナー・相談会、女性起業家塾を開催するとともに、優れた計画を有する創業者に対して開業資金の助成を行うなどの取組を進めているほか、北海道創業促進連携会議やほっかいどう地域プラットフォームを活用し、関係機関と一体となった支援体制の構築に努めているところです。
 
(2)季節労働者の冬期雇用・通年雇用対策
@ 「季節労働者対策に関する取り組み方針」について、年次ごと事業ごとの通年雇用目標数の完全達成のために、支庁を含め全庁を挙げた推進体制の確立を図るとともに一層の施策具体化を進める。
 
●回答(経済部雇用対策課)
道といたしましては、「取り組み方針」の着実な推進を図り、通年雇用化目標数を達成するため、庁内関係課や支庁との連携のもとに、全庁を挙げて取り組むこととしております。また、「取り組み方針」に基づく新規・拡充施策につきましては、季節労働者や事業主に対し、リーフレットなどにより周知に努めるなど、施策の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
A 季節労働者雇用対策協議会を通じた国の関係機関、市町村、業界団体等における主体的な役割と取り組みを明らかにし、官需のみならず民需を含めた事業平準化の促進を図り冬期間失業の解消に努める。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 道といたしましては、本年9月に設置した「北海道季節労働者雇用対策協議会」において、道が策定した「季節労働者対策に関する取り組み方針」に基づく施策の実施に当たり、構成員の連携や協力のもと施策の推進を図ることを確認したところです。
 今後、幹事会において業界団体をはじめとした各構成員の役割も含め季節労働者の通年雇用化に向けた対応について、幅広い議論を進めてまいりたいと考えております。
B 短期特例一時金受給資格が満たされないなど深刻な季節労働者の雇用不安定や通年雇用安定給付金制度の対象制限導入などを踏まえ、冬期雇用を保証する冬期雇用安定奨励金の継続活用、解雇時に翌春の再雇用を約束する雇用予約、短期特例一時金受給につながる雇用の確保など、道の立場から業界団体を指導し全道的な徹底を図る。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 道といたしましては、労働相談員(季節労働者通年雇用相談)が季節労働者を雇用している事業主を訪問するなどし、季節労働者の通年雇用化についての啓発・指導を行っておりますが、通年雇用化が難しい事業主に対しては、季節労働者の雇用の安定への配慮要請や冬期雇用安定奨励金の利用による通年雇用化への基盤づくりについてアドバイスをすることとしております。また、すでに冬期雇用安定奨励金を利用している事業主に対しては、対象労働者の通年雇用化について検討を要請するとともに、通年雇用化が難しい者については、次年度も引き続き冬期雇用安定奨励金の対象労働者とするよう要請しているところです。
 さらに、市町村の建設業協会等に対し、道の取り組み方針の事業について支庁等から周知さらには協力要請を行うなど、今後とも、引き続き、事業主や業界団体などに対し、季節労働者の通年雇用化や雇用の安定についての啓発・指導を行ってまいりたいと考えております。
C 季節労働者問題の根本的な解決のために、冬期間失業の解消に向けた中・長期的なプランを策定し、将来展望を示しながら季節労働者対策の抜本改革を進める。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 道といたしましては、季節労働者の通年雇用化と雇用の安定を図るため、昨年11月に「季節労働者対策に関する取り組み方針」を策定したところであり、現在、この着実な推進のため、庁内関係課や支庁との連携のもとに、全庁を挙げて取り組んでいるほか、業界団体や市町村、国の関係機関とも連携を図っていくため、本年9月に「北海道季節労働者雇用対策協議会」を設置したところであります。また、今後、この協議会において、将来展望も含めた季節労働者の通年雇用化に向けた対応策のあり方について、議論を進めてまいりたいと考えております。
D 冬期間失業問題を解決しているといわれる北欧諸国等における冬期雇用安定施策や発注施策の改善について、調査研究のために行政や道内関係団体等による調査団派遣を行う。
 
●回答(経済部雇用対策課)
 道といたしましても、北欧諸国等における冬期間の失業を防止するための施策等について調査研究してまいりたいと考えております。なお、具体的な調査方法などについては、今後、更に検討をしてまいりたいと考えております。
 
指摘
 冬期雇用援護制度見直しにより、季節労働者の通年雇用化の促進など情勢は厳しさを増している。要請事項にある「冬期失業問題を解決しているといわれる北欧諸国への調査団の派遣」については、明確な方針が示されていないが、早期に具体化するようお願いしたい。
E 建設業退職金共済制度(建退共)の公共工事における完全履行について、道内全市町村に対して、毎年現状調査を行い公表するとともに「北海道方式」など完全履行方式の普及啓発を積極的に行う。
 
●回答(建設部建設管理室建設情報課 農政部、水産林務部)
 建設業退職金共済制度は、建設労働者の生活と福祉の向上を図る上で重要な役割を果たしています。このため、本制度の一層の実効が図られるよう、道と市町村で構成する「公共工事契約業務連絡協議会」の場などを活用し、市町村に対して、建設業退職金共済制度の加入促進の啓発や、道において実施している「建設業退職金共済証紙貼付実績書」による確認方法などについても周知を図っているところであり、今後とも、各市町村の取組状況を把握するとともに、証紙貼付が確実に履行されるよう積極的に働きかけてまいりたいと考えています。
 
F 季節・建設労働者の賃金および労働条件などを確保するために、「公共工事における賃金等確保条例(公契約条例)」の制定を急ぐ。
 
●回答(経済部労政福祉課)
 賃金の適正な支払いなど労働条件の確保は、労働者の生活の安定を図るうえからも大切なことと考えております。このため、道としては、公契約条例に関するこれまでの議会での議論なども踏まえ、本年9月に、「請負・委託事業等従事者の労働条件の確保に係る庁内連絡会議」を設置し、平成17年度中をめどに一定の方向を見いだせるよう調査・研究あるいは意見・情報交換を行っているところであります。
 今後み、引き続き、検討を進めてまいります。
G 発注事業において、社会保険制度(健康保険、厚生年金、雇用保険)への完全加入について、元請だけでなく下請末端事業主まで指導の徹底を図る。
 
●回答(建設部建設管理室建設情報課 農政部、水産林務部)
 道では、元請業者に対して提出を義務づけている「下請負人選定通知書」に下請業者の法定保険の加入状況についても記載することとしておりますが、さらに、未加入の下請業者に対しては加入促進の文書を渡すよう指導を強化したところであり、これらの指導を徹底してまいりたいと考えています。
 
 
3.地方分権改革を進め、財政確立に取り組むとともに多様性と自治を重視した自治体を基礎とする道州制を推進し、北海道の自治のかたちをつくる。
 
(1)地方分権の推進と財政確立
 地方分権・改革を「三位一体改革」で実現するために、以下の点について国に求める
@ 三位一体改革として、自治体が行っている事務事業に比べて小さすぎる地方税の割合を税源移譲で高める。一方で、国庫補助負担金を縮小させ、それらに対応した地方交付税の財源保障を行う。
A 2004年度政府予算における地方財政計画は、地方交付税が前年度と比較して12%もの大幅減額となり、政府の「三位一体改革」の初年度は、国の歳出削減のためのみに利用され、道内の自治体は予算が組めない厳しい状況となった。2005年度は地域実情を直視して公平な改革を強く求める。
B 国が法令に基づく事業実施を自治体に義務づけ、自治体間の財政力格差が大きい現状においては、地方交付税の財源保障機能と財源調整機能を維持する。
C 地方財政の自己決定権の拡大をとおして地方分権の徹底をはかるためには、地方に国税から基幹税である所得税と消費税を確実に移譲・配分し、その上で補助金と地方交付税の改革を実施する。
D 国庫補助負担金の一般財源化が実現するまでは、すべての補助事業について統合補助金化を実施し、地方自治体が主体的に活用出来るようにする。
 
●回答(企画振興部地域主権推進室)
 「三位一体の改革」は、歳入・歳出の両面から地方の自由度を高め、地方の自己決定、自己責任の幅を拡大し、住民ニーズに対応した施策展開を可能とする、真の地方自治の確立に向けた「地方分権改革」であるべき。しかし、平成16年度の三位一体改革は、国の財政再建が優先され、地方交付税が大幅に削減されるなど、道や市町村にとって極めて厳しいものであります。
 平成17年度の地方財政対策においては、これまで地方六団体として強く求めてきた地方交付税並びに地方一般財源の総額が前年度並みの水準が確保されたところではあるが、三位一体改革の全体像では、「国・地方の双方が納得できるかたちで歳出削減に引き続き努め、地方財政計画の合理化、透明化を進める」とされており、今後とも、地方交付税の確保に向けて、地方六団体が一致結束して取り組んでいくことが必要であります。
 また、三位一体改革は、全体としてはまだまだ不十分であり、生活保護費等の取り扱いをはじめ、目標としている3兆円の税源移譲額に不足する約6千億円の改革内容、さらには、第二期改革への道筋など、多くの課題が残されております。
 このため、継続して設置された「国と地方の協議の場」などを通じ、
・国庫補助負担率の引き下げによる単なる地方への負担転嫁が行われてはならないこと・基幹税(個人住民税)による確実な税源移譲
・地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税総額の安定的な確保などについて、引き続き地方六団体と連携し、地方案に沿った形で改革が図られるよう、最大限努力してまいります。
 
(2)分権自治と市町村合併・支庁制度改革・道州制の先行実施
@ 政府は、市町村合併を継続・推進していくために、現行法を改正して新市町村合併特例法を成立させ、2005年4月1日から施行する。この新法は、都道府県や知事に合併推進のための権限を与え、強権的に合併を強制することが可能である。道は市町村の自主性を損なう合併に反対し、住民合意を基本に対応する。合併を選択しない小規模町村に対しては、広域行政の観点から支援策を検討し、多様な地方自治制度を提起する。
 
●回答(企画振興部市町村課)
 国においては、現行合併特例法の失効後の平成17年4月以降も、引き続き、市町村の自主的な合併を推進するため、合併構想の策定や合併協議会の設置勧告など、都道府県が果たすべき役割を示した新法を制定しています。
 市町村においては、地方分権の推進や少子・高齢化の進展、道州制の議論など市町村行政を取り巻く情勢が大きく変化する中で、基礎自治体としての市町村が地域における総合的な行政主体として、期待される役割をしっかりと果たしていくため、市町村自らの行政体制を整備、強化していくことが求められており、市町村合併は、このための有効な手段の一つであると考える。
 市町村合併は、これまでの市町村のあり方や地域の枠組みを変えるといった住民生活に密接に関わるものであることから、地域において様々な観点から議論を深め、自主的に進められるべきものと考えている。このため、道としては、市町村の意向を十分に踏まえながら必要な役割を果たしていく。また、合併したくても合併できない小規模な市町村については、分権型社会における道と市町村の役割分担や、連携の取り組みなどについて、市町村の意見を伺いながら、検討を行う。
A 地方分権を一層進め道州制による地域政府を築ずくために、ア.国と地方の役割分担を明確にし、権限・財源移譲を進め、先行的な道州制の実現、イ.市町村合併や広域連合など多様性と自治を重視した基礎自治体の強化、ウ. そうした市町村を支援する機能を強化した本庁及び支庁制度改革を「三位一体」改革として、北海道の自治のかたちを確立する。
B 政府の「道州制特区」への対応方針と道州制の先行実施に向けた道の基本方針について明らかにする。
C 道州制の先行実施の基本方針のなかで、道から市町村への権限移譲の検討内容について明らかにする。
 
●回答(企画振興部地域主権推進室参事)
 道州制の検討、基礎自治体のあり方、支庁制度改革は、地域主権型社会の実現に向けて、地方が自立した自治のかたちを目指すものであり、一体的に取り組む必要があります。
こうしたことから、本年4月に、道州制の目指す姿や基本的な考え方、国、道州、市町村の役割分担の基本的な考え方などを示した「道州制プログラム」と「道州制特区に向けた提案(第1回)」を策定し、国に提案したところであり、道の提案内容を実現するための推進組織の設置も国に働きかけているとこ ろです。
 更に、道州制の推進に当たっては、市町村への権限などの移譲の推進を重要な柱の一つと位置付けていることから、今年度中に「(仮称)道州制に向けた道から市町村への事務・権限の移譲方針」を策定することとしており、これに基づき、市町村との協議を経て順次移譲を行うこととしています。
 また、道州制の下では、基礎自治体である市町村が、地域における総合的な行政主体として大きな役割を果たすことが望ましいと考えており、そのために必要な行政体制を整えていく観点から、市町村合併や広域連合などの検討に伴う様々な課題に応じた情報提供や助言を行うなど、積極的な役割を果たしていきます。
 支庁制度改革については、道州制や市町村合併など、地方分権改革の進展を踏まえ、今年度末を目途に、長期的な視点に立った支庁制度改革の方向性や、今後の進め方などの改革の取組の具体化を図っていくこととしており、その中では、道州と市町村の役割分担や道から市町村への事務・権限の移譲の検討と併せて、支庁の体制整備などの検討を行うこととしています。
 
(3)道財政の立て直しプランについて
@ 道が8月6日に最終決定した「財政立て直しプラン」は、道財政危機の原因が景気対策に地方財政を動員した国、それに追随し自らの財政改革や政策見直しを先延ばしにしてきた道の責任は重大であるという総括が不十分である。同プランは医療・福祉・教育など道民生活の根幹に係わる部門を中心に聖域なしに削減・切り捨ての内容となっているが、厳しい財政の中で何を優先し、何を我慢するのか、道民と市町村との協働で作り上げられるべきであり、よって、指摘した観点をふまえて抜本的に見直し、道民の合意形成がはかれるプランとする。
 
●回答(総務部財政課)
 道財政は、10年後の平成26年度には2,600億円を超える巨額の収支不足が見込まれる状況にあり、持続可能な財政構造の構築が喫緊の課題となっている。また、今年度の収支不足額は、赤字再建団体転落ラインの2.6倍に相当する1,730億円に上っており、このまま再建団体に転落した場合は、道民生活に大きな影響がでることが確実であります。
 このため、道財政立て直しプランを策定し、平成19年度までに集中的に1,700億円の歳出削減と歳入確保を実行し、併せて、行財政構造の抜本的改革を進め、10年後の収支均衡を図ることとしています。
 道財政が悪化した要因としては、過去に国の経済対策に沿って、道として、公共事業等の景気対策等を実施しましたが、結果的に本格的な景気回復には至らなかった中で、その財源として活用した道債の償還費が累増していることや本格的な少子高齢化の到来により、医療費や介護保険といった社会福祉関係の義務的経費が予想を超えて増加していること、また、歳入面では、道税収入の急激な落ち込みや地方交付税の大幅な削減などが挙げられます。
 このような状況を踏まえ、財政立て直しにあたっては、聖域を設けることなく施策を見直していく必要があり、プランの策定にあたっては、これまでも市町村や関係団体に節目節目で説明するとともに、道民の皆さんにも、ホームページやパブリックコメントを通じてお知らせし、ご意見を伺ってきたところです。
 また、道の広報誌や広報番組で取り上げるとともに、私自身も「まちかど対話212」などの機会を通じて、地域の方々に説明し、意見交換をしてきたところです。
 それぞれの施策の見直しにあたっては、引き続き、市町村や関係団体などのご理解を頂きながら進めて参りたいと考えています。
A 8月6日に最終決定した「財政立て直しプラン」は、医療・福祉・教育など道民生活の根幹に係わる部門においても、聖域なき削減・切り捨てとなっているが、補助金・負担金削減の対象となった当事者の生活に直接影響を及ぼす問題であり当事者等の要望をふまえて、プランの見直しや必要な支援措置を確立する。
 
●回答(総務部財政課)
 財政立て直しプランは、道民の皆さんの多様なニーズに対応できる将来にわたって持続可能な財政構造の構築を図ることを目指しています。
 目前に迫った「赤字再建団体」への転落を回避するためには、平成19年度までの集中対策期間において、少なくとも1,700億円の財源を捻出する必要があります。
 このため、財政立て直しにあたっては、教育や福祉分野も含め、聖域を設けることなく施策を見直すことが不可避であり、国や他団体の水準を超えるものなどを中心に検討を行ったところです。
 それぞれの施策の見直しにあたっては、引き続き、市町村や関係団体などに充分説明し、ご理解を頂きながら進めて参りたいと考えています。
B 財政立て直しにあたっては従来型公共事業から、福祉や教育、環境など住民生活に密着し、雇用創出効果の高い公共投資への転換を進めるとともに、事業の必要性・優先度を地域住民と検証評価するシステムを確立する。
 
●回答(総務部行財政改革推進室)
 北海道の将来の発展を図っていく上で、社会資本の整備は大変重要なものでありますことから、道では、これまでも道民のみなさんが豊かさを実感できるような生活関連基盤や体質の強い産業を確立するための基盤、さらには安全性の高い国土保全といった社会資本の計画的な整備に努めてきたところです。
 しかし、国の構造改革による公共投資の縮減方針や道の危機的な財政状況など社会資本整備を巡る情勢が大きく変化してきており、このような中、道では、今後の社会資本整備に求められる方向性を示し、限られた財源の中で、北海道において重点的に整備すべき社会資本の考え方や手立てを明らかにするため、平成17年度から平成19年度までの3年間を重点化の対象期間とした「北海道社会資本整備重点化プラン」を策定しました。
 重点化プランでは、少子・高齢社会や高度情報通信社会、環境重視型社会への移行といった時代の潮流への対応、自然災害や事故から道民の生命や財産等を守るための安全な地域づくり、教育環境の充実や子育て環境の整備など未来を担う子どもたちを育む環境の整備などを今後の社会資本整備の基本方向として掲げ、今後、この重点化プランに基づき、より一層の重点的・効果的な社会資本の整備に努めてまいりたいと考えています。
 また、北海道政策評価条例に基づき、事業採択後長期間を経過した時点で継続中の事業などについては公共事業再評価を実施するとともに、一定の基準に該当する大規模事業等については公共事業(大規模等)事前評価を実施しており、事業の必要性、経済効果、環境上の配慮、住民の動向・意向などを視点に評価を行っているところです。
●回答(企画振興部計画室)
 北海道の将来の発展を図っていく上で、社会資本の整備は大変重要なものでありますことから、道では、これまでも道民のみなさんが豊かさを実感できるような生活関連基盤や体質の強い産業を確立するための基盤、さらには安全性の高い国土保全といった社会資本の計画的な整備に努めてきたところです。
 しかし、国の構造改革による公共投資の縮減方針や道の危機的な財政状況など社会資本整備を巡る情勢が大きく変化してきており、このような中、道では、今後の社会資本整備に求められる方向性を示し、限られた財源の中で、北海道において重点的に整備すべき社会資本の考え方や手立てを明らかにするため、平成17年度から平成19年度までの3年間を重点化の対象期間とした「北海道社会資本整備重点化プラン」を策定しました。
 重点化プランでは、少子・高齢社会や高度情報通信社会、環境重視型社会への移行といった時代の潮流への対応、自然災害や事故から道民の生命や財産等を守るための安全な地域づくり、教育環境の充実や子育て環境の整備など未来を担う子どもたちを育む環境の整備などを今後の社会資本整備の基本方向として掲げ、今後、この重点化プランに基づき、より一層の重点的・効果的な社会 資本の整備に努めてまいりたいと考えています。  
 また、北海道政策評価条例に基づき、事業採択後長期間を経過した時点で継続中の事業などについては公共事業再評価を実施するとともに、一定の基準に該当する大規模事業等については公共事業(大規模等)事前評価を実施しており、事業の必要性、経済効果、環境上の配慮、住民の動向・意向などを視点に評価を行っているところです。
 
 
4.男女が仕事と家庭を両立できる社会的な環境を整備し、子育て支援・少子化への総合的な対応を強化する。
 
(1) 次世代育成支援法(2003年7月成立)は、次の世代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境をつくるため、国、地方公共団体、事業主、国民の責務を明らかにしたが、少子化が深刻な北海道においては、実効あるものとするため、以下の取り組みを推進する。
@ 市町村における「地域行動計画」、事業主行動計画(一般事業主、特定事業主)の策定を促進するとともに道はそれを支援し必要な支援措置を講ずる。計画策定にあたっては労働者の代表も参加する協議会等を設置する。
A 企業において子育てと仕事が両立できる職場をつくることは企業の社会的責任であることを周知し、従業員300人以下の企業においても行動計画を策定するよう指導する。
 
●回答(保健福祉部 子ども未来づくり推進室)
 道では、国以上に少子化の進行が深刻であることから、道の独自の対応として、少子化対策に関しては全国初となる「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」を平成16年10月に制定したところです。
 この条例では、道自ら少子化対策を推進する責務を定めるほか、事業者に対しては必要な雇用環境の整備について責務を定めるとともに、市町村や事業者と緊密な連携を図ることとしております。
 道といたしましては、少子化対策の目的や趣旨等を広く啓発し、市町村及び事業主における計画策定を一層促進するとともに、条例第12条では「雇用環境の整備」について規定し、家庭と仕事との両立を促進することとしておりますので、事業者や労働者への意識啓発等、必要な支援に努めてまいりたいと考えています。
 また、地域行動計画の策定に当たっては、各市町村において、労働、保健医療福祉、教育等幅広い関係者からなる次世代育成支援対策地域協議会を組織することができることとなっており、幅広い主体が協力し少子化対策を推進するため、大部分の市町村において設置する予定となっております。
 なお、道の実施計画(都道府県行動計画)の策定に当たっては、北海道子どもの未来づくり審議会委員として、日本労働組合総連合会北海道連合会からもご推薦を頂いたところです。 
 
●回答(経済部労政福祉課)
 道では、本年10月に制定された「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」の実施計画を現在策定中でありますが、その計画の中に、仕事と家庭の両立を図るため開催する「仕事と家庭の両立を考えるシンポジウム」や従業員300人以下の企業への両立支援に係る労務管理の指導を行う「アドバイザー派遣」などを盛り込む考えであり、それらを通じて、北海道労働局と連携を図りながら、一般事業主行動計画策定の促進などに努めて参りたい。
(2) 「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」(04年10月制定)の基本的施策(子育て支援、保育の充実、雇用環境、母子保健医療、児童の健全育成と虐待防止、教育環境、生活環境、経済的負担軽減等の整備)に必要な関連予算を確保するとともに、市町村が身近なところで子育て力の向上を図り、各地域のニーズに応じた子育て支援事業を実施する取り組みなどに助成を行い全道の推進体制を構築する。また、条例に基づく実施計画は、男女平等、ジェンダーフリーの視点に立った実施計画とする。
 
●回答(保健福祉部 子ども未来づくり推進室)
 条例に基づく少子化対策については、平成17年度の重点施策の一つとしても位置付けられておりまして、厳しい財政状況にありますが、今後、実施計画における事業について検討しながら、様々な取組みが効果的に実施できるよう、必要な財政上の措置に努めてまいりたいと考えております。
 また、少子化対策は、市町村において身近なところで子育て力の向上を図ることが大変重要なことと考えておりますので、先ほど申し上げた平成17年度重点政策の具体的な取組の一つとして、地域ぐるみで子育て支援に取り組む基盤をつくるための市町村モデル事業を実施したいと考えております。
 なお、実施計画の策定に当たっては、性別にとらわれない役割分担や男女が協力して家庭を築くことなどに関する教育、啓発など、男女平等参画の視点に立った取組などについても盛り込みたいと考えております。
 
 
5.義務教育費国庫負担制度を堅持し、教育の機会均等を確保する。
  三位一体改革の2年次をむかえ、全国知事会は義務教育費国庫負担金の一部を国庫補助負担金から廃止することを求めているが、憲法26条に定められている「教育の機会均等」が地方の財政力によって保障できなくなるおそれがあることから、現行の義務教育費国庫負担制度はこれを堅持するよう国に求める。
 
●回答(企画振興部地域主権推進室)
 様々な行政課題が存在する中において、教育は極めて重要な政策課題であると認識しており、一般財源化後においても、義務教育の基本的な枠組みは、国が法律等によって対処し、その上で、地域が主体的にそれぞれの地域の特性に応じた教育を展開することが望ましいと考えている。
 8月に政府に提出した地方6団体の改革案においても、このような観点から、「国は、義務教育における地方公共団体との適切な役割分担を踏まえ、その責務を法律上明記するとともに、都道府県間において教育費の水準に著しい格差が生じることのないよう法令に明記するなどの措置についても考慮すべきであること」が一般財源化にあたって検討すべき事項として明記された。
 このような地方からの提案に対し、11月26日に示された三位一体改革の全体像は、中央教育審議会の議論を踏まえ結論を得ることとし、暫定措置として金額を明示するにとどまっており、国と地方の協議の場においても議論が継続されることとなっている。
 道としては、地方の提案に沿って改革が進められるよう、引き続き、地方6団体が一致結束して対応して参りたいと考えている。
 
 
 
6.日本の食糧基地北海道の農業・農村振興を軸に地域活性化を進める。
(1) 消費者重視の安全・安心の食料政策
 米国でBSE感染牛が確認され輸入禁止措置(03年12月)がとられ、現在、輸入再開に向けた日米協議が進められているが、消費者の信頼を最重視し、輸入再開にあたっては、わが国と同等の安全対策に基づくものとすることを国に求める。北海道においては全頭検査を継続する。
 
●回答(農政部酪農畜産課 保健福祉部食品衛生課)
 これまで、我が国は、輸入する牛肉については国産牛肉に講じている安全対策と同等の措置が必要であると一貫して主張し、米国側と協議を重ねていると承知しています。
 道としては、米国からの輸入再開に当たって、我が国が今後も毅然たる態度で対応することが必要と考えており、引き続き国に対して、安全対策の確保を求めてまいりたいと思います。
 
●回答(保健福祉部 食品衛生課
 と畜場におけるBSE検査については、現在、国において検査対象の見直しが検討されているところであり、経過措置として、都道府県が自主的に行う全頭検査への国庫補助を継続することとし、事実上全頭検査を継続する方向が示されたことから、道としても、関係各部からなる「北海道BSE対策本部」会議において、国の対応などを見極めながら、全頭検査を継続していくことについて確認したところです。
 
(2) 遺伝子組換作物への対応
 遺伝子組換作物による種子汚染や環境等への影響を防止するため、屋外での一般栽培を規制するガイドラインに基づいて対処する。研究・試験栽培については厳格な管理を行う。遺伝子組み換え食品の表示については、情報公開を進める立場から消費者が合理的に判断できる内容にする。
 
●回答(農政部道産食品安全室)
 消費者や生産者の多くが遺伝子組換え食品や花粉の飛散による交雑などに強い不安感を抱いている現状において、遺伝子組換え作物の屋外での栽培については、一般作物との交雑や混入が起こらない厳重な管理体制のもとで行うことが必要であることから、そのための具体的な実施条件や手続きなどを規定する「遺伝子組換え作物の栽培等に関する条例(仮称)」を、全国に先駆けて平成17年第一回定例道議会に提案する予定です。
 この条例の素案において、農家などが行う一般栽培については、許可制としており、栽培計画について十分な交雑・混入防止措置が執られているかどうかを見極め、知事が専門家や消費者、生産者の意見をお聴きし、交雑・混入防止の観点から許可・不許可を判断する仕組みとしています。
 また、試験研究機関が行う栽培試験については、届出制のもと、栽培試験計画について、知事が専門家や消費者、生産者の意見をお聴きし、交雑・混入防止の観点から、知事が必要と判断した場合、指示や指導ができる仕組みとしています。
 遺伝子組換え食品の表示については、JAS法により、豆腐や納豆などについては表示が義務づけられているものの、食用油や醤油などは表示義務がないことから、道としては、全ての遺伝子組換え食品を対象とした表示やトレーサビリティの義務化、意図せぬ混入率をEU並み(0.9%以下)に引き下げることなどについて、国に対して提案しているところです。
(3)  「食の安全・安心条例(仮称)」の制定
 安全と安心の食料生産基地北海道を確立するため、「食の安全・安心条例(仮称)」を制定する。
 
●回答(農政部道産食品安全室)
 北海道は、道民をはじめ、全国の消費者に安全・安心な食料を提供するという重要な役割を担っているが、BSEの発生や食品偽装表示などの問題を契機に、食品に対する消費者の信頼が大きく低下しています。
 このため、消費者重視の視点から、道民の健康の保護と安全・安心で消費者に信頼される道産食品づくりを目的として、食の安全・安心を確保するための施策を道政に明確に位置付け、総合的に推進する「食の安全・安心条例(仮称)」を平成17年第一回定例道議会に提案する予定です。
(4) 直接支払政策の導入
 農業・農村再生プラン及び道農業・農村振興基本計画に基づく、道独自の直接支払政策の導入を検討する。環境や景観、国土保全と食料自給など農業・農村の多面的公益的機能に対する環境等直接支払政策や慣行農法から有機農法への転換に取り組む農業者に対する自然循環機能等直接支払政策を創設するよう国に求める。
 
●回答(農政部 農業企画室)
 現在、食料・農業・農村政策審議会企画部会において、国の新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた議論が行われていますが、経営安定のための直接支払制度の導入については、8月に公表された中間論点整理において「日本型直接支払を検討していくことが適当」とされました。
 この中間論点整理には、道や関係18団体で構成する北海道農業・農村確立連絡会議として国に提案してきた「農業で生計を立てる主業的な経営体が意欲を持って営農に取り組める、実効ある直接支払制度の創設」について、おおむね反映されているものと考えますが、今後とも、本道の実態に即した直接支払制度となるよう、国等に対して積極的に働きかけてまいりたいと考えています。また、農業環境・資源保全政策については、
 ・ 我が国農業全体について環境保全を重視したものに転換していくことが不可欠で、環境への負荷の大幅な低減を図るためのモデル的な取組に対する支援を導入することが必要。
 ・ 農地・農業用水等の資源は、食料の安定供給や多面的機能の発揮に不可欠な社会共通資本であり、資源や農村環境の保全活動に対する支援について検討し、モデル的に施策の実効性を検証していくことが必要。などとして論点が整理されました。
 道では、関係団体とともに、国に対し、
 ・ 環境負荷を低減する減農薬・減化学肥料栽培や有機栽培などの取組を実践する農業者に対する直接支払制度の創設。
 ・ 本道の多様な営農形態などを踏まえた、農地・農業用用排水などの保全管理や農村景観づくりなど地域の取組に対する直接支払制度等の創設。などを提案しているところであり、こうした道の提案が実現するよう今後とも粘り強く最大限の努力をしてまいりたいと考えています。
 
 
7.核燃サイクル開発機構と日本原子力研究所の統合に関わり、核燃料サイクル開発機構・幌延深地層研究センターに関する基本方針を引き続いて堅持し、必要な措置を国に求める。
 核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所を統合し、2005年10月1日より独立行政法人日本原子力研究開発機構を設立するため準備が進められているが、その際、これまで核燃サイクル開発機構との間で確認してきた、協定、条例等が新組織に引き継がれることを法律上で明確となることを国に求める。また、核燃料サイクル機構幌延深地層研究所立地にあたって結ばれた、「幌延町における深地層の研究に関する協定書」、「北海道における特定放射性物質に関する条例」などの文書にある「核燃料サイクル開発機構」の個体名は、新たな組織に置き換える手続き、確認を行う。
 
●回答(経済部資源エネルギー課)
 国においては、平成16年11月26日に独立行政法人・日本原子力研究開発機構法が成立し、核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所を解散するとともに、両法人の業務等を新法人に承継することとしていると承知しております。
 道及び幌延町がサイクル機構と締結した協定は、新法附則における経過措置の規定に基づき、新法人に承継されると承知しております。
 特定放射性廃棄物に関する条例は、本道への放射性廃棄物の持ち込みは受け入れ難いことを宣言したものであり、事業者を特定したものではないことから、新法人に対しても、適用されるものであります。
 道としては、今後とも、これら条例や協定を誠実に履行し、幌延町における深地層の研究が計画に沿って進められるよう努めてまいる考えであります。
 
指摘
 幌延深地層研究センターに係わり、北海道、幌延町、核燃料サイクル開発機構の三者で締結した「協定書」は、独立法人日本原子力研究機構法の附則により新法人に承継されるとの回答を頂いたところであるが、これまでの歴史的いきさつ、地元住民や道民の核廃棄物に対する不安や疑念が依然として強いことを考えると、法律的な継承だけで「はい、わかりました」とはならないものがある。
 今後、新法人を含め、協定遵守について、あらためて確認を求めていきたい。
 
 
 
8.在日米軍再編問題に関わり、本道に米軍基地を受け入れないことを明確にする。
 現在、米軍基地再配置の検討に関わり、小泉首相は在沖縄米軍の「国外移転、本土移転」も含めた考えを表明している。また、日米の外交・防衛当局の非公式協議で、矢臼別に米海兵隊の砲兵部隊を移転させる構想について新聞報道もなされているが、北海道として、米軍基地は受け入れないことを明確にする。
 
●回答(総務部危機管理対策室)
 米海兵隊の矢臼別演習場への移転構想の新聞報道については、札幌防衛施設局を通じ国に照会したところ、「報道されたような事実はない」との回答がありました。
 仮に、そのようなことがあれば、まず、その内容をよく確認する必要がありますが、これまでの経緯を踏まえると、現時点では、受け入れ難いと言わざるを得ないのではないかと考えております。
 
指摘
 米軍の世界的な再編問題で沖縄米軍の矢臼別移転構想については、「現時点では受け入れがたいと言わざるを得ないと考えている」との回答については不満である。反対の姿勢を明確にするよう要請する。
以上